エレベーターなし賃貸マンションはやめたほうがいい?実際に4階に住んでわかったメリット・デメリット

住宅情報サイトから賃貸物件を探してとてもいい物件に出会えたと思ったら、エレベーターがついてなかったということありますよね。
しかも階数が4階や5階となると、階段で上がったり下ったりがとても大変そうです。
私もエレベーターなしの4階建てのUR賃貸住宅に住んだことがありますが、たしかに大変だったこともありますが、メリットも多々ありました。
どんなメリットやデメリットがあるのか、エレベーターなし賃貸マンションがおすすめのケースをご紹介したいと思います。
エレベーターは何階以上に設置義務があるの?
まず、エレベーター設置に関して法律関連をおさえておきましょう。
高さ31mを超える建物に設置義務
建築基準法第34条では、「高さ31mを超える建築物には、非常用の昇降機を設けなければならない」と規定されています。
31メートルというと、7〜10階建てのビル・マンションに相当します。「昇降機」とは、火災時における高層階の消火活動を目的とした設備(エレベーター)のことです。
このエレベーターの運転速度や人が乗る空間の仕様については詳しい基準が定められていますが、「〇階以上ならエレベーターを設置する」という法的な規定はありません。
第34条
1 建築物に設ける昇降機は、安全な構造で、かつ、その昇降路の周壁及び開口部は、防火上支障がない構造でなければならない。
2 高さ31メートルをこえる建築物(政令で定めるものを除く。)には、非常用の昇降機を設けなければならない。
非常用の昇降機(非常用エレベーター)とは、火災発生時に消防隊が消火・救出活動に使用するものであり、構造についても細かな基準が定められています。
平常時は、乗用エレベーターまたは人荷用エレベーターとして使用されます。
高齢者向けの共同住宅は、3階建て以上に設置義務
高齢者向けの共同住宅「サービス付き高齢者向け住宅」の場合は、原則として3階建て以上でエレベーターの設置が義務付けられています。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住・サ付き)とは、「高齢者の居住の安定確保に関する法律」の基準を満たし、登録されている賃貸住宅です。
床の段差がないなどバリアフリー構造であり、介護スタッフによる見守りや生活相談など、高齢者の暮らしを支援するサービスが特徴です。
(加齢対応構造等である構造及び設備の基準)
第三十四条 法第五十四条第一号
八 階数が三以上である共同住宅の用途に供する建築物には、原則として当該建築物の出入口のある階に停止するエレベーターを設置すること。
そのほか、地方自治体の条例によっては、独自の基準でエレベーターの設置義務が定められているケースもあります。
実際には何階建てのマンションに設置している?
国土交通省が1995年に発表した「長寿社会対応住宅設計指針」の中で、「6階以上の高層住宅にはエレベーターを設置するとともに、できる限り3~5階の中層住宅等にもエレベーターを設ける」と提案しています。
この指針には法的な強制力がなく、マンションにエレベーターを設置する「目安」となっています。
エレベーターは導入時に高額の費用がかかると共に、定期的なメンテナンス費用が必要になります。大家さんは、かなりの出費を考えなければなりません。
法的な強制力がないため、5階建て以下の物件になると、エレベーターがないケースが増えるようです。
エレベーターなしマンションのメリット
それではマンションにエレベーターがないことで、メリットはあるのでしょうか?
家賃・物件価格が安い傾向がある
エレベーターなしマンションでは、階段を利用するしかありません。もちろん、階数が高い部屋ほど敬遠される傾向があります。
私が住んでいたUR賃貸住宅の場合も、4階はちらほら入居していましたが、5階部分はガラガラ状態でした。
健常者や若者ならまだしも、足腰に持病のある方や幼児以下の子ども、妊娠中の方や高齢者にとっては非常に大変な移動となってしまいます。健康な方でも、疲れているときや大きい荷物を持っているときはしんどいですからね。
これらが理由で、階数が高い部屋は下の階よりも家賃が安く設定されていることが多いです。
また、エレベーターが設置されている物件では、エレベーターの電気代や定期点検費用といったコストも家賃や管理費に反映されています。そのぶん、エレベーターなしマンションは家賃を抑えることができるのです。
同エリアの同条件の物件でエレベーターの有無だけが違う物件を見つけたことがありますが、なし物件のほうが2万円家賃が違いました。
エレベーターなしの同建物内では1〜2階より4〜5階のほうが家賃が5,000円安く、上の階の方が断然お得でした。
階段の上り下りは苦にならず、住居費を節約したい人にはおすすめです。
階段の上り下りで運動になる
ラクな方向に流れてしまうのが人間というもの。エレベーターがあると、上り下りは当たり前のように使います。車やバイクなど便利なものがあれば当然のように使いたくなるのと同じですね。
エレベーターに頼りすぎて自ら動かなくなった結果、慢性的な運動不足に陥る人も少なくありません。
エレベーターがなければ必然的に階段で上り下りするようになり、適度な運動になります。日々足を使うことで程よい筋肉がつき、健康維持に一役買うでしょう。
朝の忙しい時間帯に待たなくてよい
共同住宅の場合、朝のエレベーターはとても混雑します。
とくに中層階の場合、上の階でボタンを押されると、降りてくるときにはたくさんの住民が乗ってきて乗れない、なんてことも多々あります。
結局、階段を使う羽目になってしまい、4〜5階ぐらいであれば朝の忙しい時間帯はむしろ階段を使うほうが早いかもしれません。
エレベーターがなければ待ち時間でイライラすることもなく、みんなで仲良く平等に階段ライフを送ることができます。
災害時にすぐに外に出られる
地震や火災が起きたとき、エレベーターの中で閉じ込められたらパニックになりませんか?
日本は震災大国。大震災が起きたとき、実際にエレベーターに閉じ込められたケースもたくさん報告されています。
特にタワーマンションなどは、上に逃げるか下に逃げるかでパニックに陥る可能性も多々あります。
そんな災害時でも、エレベーターがない低層マンションは中に閉じ込められる心配がありません。災害で階段がつぶれていなければ、すぐに下りて逃げることができます。
エレベーターなしマンションのデメリット
メリットをあげてきましたが、もちろんデメリットもあります。
健康で若い人でも、ヘトヘトに疲れているときは大変
どんなに健康で若い人でも、いつも同じ調子であるとは限りません。突然事故に遭い、松葉杖の生活になるかもしれません。
体調がすぐれなかったり荷物が多いときは、「しんどい、エレベーターを使いたい」と思うでしょう。
また、入居時は夫婦ふたりでも、子どもが生まれたらベビーカーが必要になることもあります。ベビーカーとスーパーのレジ袋を持ってさらにお子さんを抱えて、となると、相当キツイですし危険です。
突然のハプニングやライフスタイルの変化があったとき、エレベーターあり物件がうらやましくなったりします。
引越し時に追加料金が発生する可能性
引越し会社に見積もりを取るときに、搬出元・搬入先の両方について「居室の階数とエレベーターの有無」を必ずと言っていいほど聞かれます。
エレベーターがあれば大型の荷物も台車に乗せて運ぶことができますが、階段の場合は手で抱えて運ばなければなりません。
条件によっては、引越しの所要時間や必要な人員の数が変わってくることもあります。
そのため、2階(もしくは3階)以上の居室でマンションにエレベーターが設置されていない場合は、通常の引越し費用のほかに追加料金が上乗せされるのが一般的です。
階数が高くなるほど、追加料金も増額する可能性が高いです。
大型家具・家電の購入時に追加料金が発生する可能性
大型の家具や家電を購入して自宅に配達してもらうとき、エレベーターのないマンションでは引越しと同じく追加料金が発生する場合が多いです。
せっかく購入しても踊り場が狭くて搬入できず、泣く泣く返品せざるを得ないケースもあります。
大型家具や家電を購入する時は、家の中の設置場所だけではなく、あらかじめ搬入ルートを確認して店員さんに相談しておきましょう。
実際にエレベーターなし物件の4階に住んでみた感想は?
26歳のときに5階建てUR賃貸住宅の4階部分に住んでいたのですが、何も持ってないときは4階まではなんとか生活できる感じです。
3階の踊り場ぐらいから、「あと1段!」と毎回気合を入れていましたけれどね。スーパーの買い物袋を2袋持っているときは、汗だくになっていました。
熱中症になりそうなぐらいの日差しが強い日は、3階の踊り場でめまいがしそうになったほど。反対に大雪が降る寒い日は、踊り場に張った氷でコケそうになったことも多々ありました。
新聞も下の集合ポストに取りに行かなければならず、毎朝つらい思いをして取りに行ってました。
5階に小さい女の子がいるファミリー世帯が住んでいたのですが、子供の小さい自転車をパパが毎回持って上がっているのはとても大変そうだったのを覚えています。
やはり階段生活はきついのか、5階の居室はどこも回転率がとても早かったようです。
実際に住んでみて思ったのは、「それなりに快適に暮らすなら、エレベーターなしは4階までが限界」ということでした。
エレベーターなし賃貸マンションは、家賃をおさえたい人におすすめ
エレベーターなしマンションは移動手段が階段しかないため、ヘトヘトに疲れてしまうというデメリットがある一方、高層階ほど家賃が安いというメリットがあります。
一戸建てでさえ2階に上がるだけでもしんどいときがありますから、4階・5階のエレベーターなし物件は、よほどその建物の部屋や環境が気に入っている方以外はおすすめできません。
4階以上の賃貸物件をおすすめできるのは、こんな方です。
- 体力に自信のある方
- 日頃から体を動かすことを苦に感じない方
- 強制的にでも運動不足を解消したい方
- 住居費用をおさえたい方
運動不足はこじつけのようなもので他でも解消できますから、その物件に対して惚れ込みが強いとか家賃が払えないという場合以外は、その後の生活変化も含めてよく考えたほうがよいでしょう。
家賃の安さや部屋の中ばかり見ていると、あとで思わぬ苦労することになるかもしれません。
住んでから後悔しないためにも、見学時に実際に何度も階段を上り下りしたり、先々のライフイベントを考えて、どちらがよいのかじっくりと検討してみてくださいね。

2人の小学生の娘を持つ40代のシングルマザー。社宅・賃貸・一戸建て・マンションなど様々な住居への引越し経験あり。離婚後は浪費家から一転、家計を見直して1,000万円以上の貯金に成功。自らの体験から学んだ暮らしに役立つ情報をお届けします。